Feature 03HSU(Suchmos) × 手嶋慎(Makersデザイナー)
そもそもなんで浜松に来てもらったのかというところから。
- 手嶋
- 今回の対談のきっかけはLINEのやりとりかな。
- HSU
- ちょいちょい手嶋さんに「靴、いい感じになってきました」みたいなことを報告してて。俺、Makersが革靴デビューと言っても過言じゃなかったので。
- 手嶋
- 言ってたね。
Makers初期からのユーザー?
- 手嶋
- ではないね。もともとは昨年か一昨年の展示会に後輩が連れてきてくれて。そのときに「いいな」って話をしてくれてたんだけど、何か引っかかるとこがあったのかその後直接連絡をくれて。
- HSU
- そう、それで浅草の工房に行って靴も買って。
それで急に浜松に対談に来いと?(笑)。
- 手嶋
- そうだね(笑)。
- HSU
- 急に浜松に来いというか、対談やりますって答えたら「じゃあ浜松って」言われて(笑)。
- 手嶋
- 自分のフィールドで話をしたくて。
- HSU
- それは手嶋さんのフィールドで?
- 手嶋
- そうそう、変な話、俺がリラックスできる環境で話せないと(笑)。
- HSU
- 確かに確かに(笑)。
- 手嶋
- 申し訳ないんだけど(笑)。
- HSU
- いや、全然いいっす(笑)。
- 手嶋
- 浜松には本当によく来ていて。ここは自然もあるし、飯も美味いし、年に三回くらいは来てるんだけど、ちょうど来るタイミングに対談の話が進んでいたから、これはもう浜松でやっちゃおうかなと。
- HSU
- 俺、最近褒め言葉で使ってるんですけど、田舎が大好きで、「田舎だなぁ」ってよく言ったりもするんですけど、普通の捉え方からしたら「うるせえな」みたいな感じになるかも知れないですけど、俺の「田舎だなぁ」はイコール「いいなぁ」なんですよね。だからこそ湘南に住んでるし、できるだけ開けた場所が好きなんです。好きというか、そうじゃないと、俺、東京にいる時間メーターみたいなのがあって、2,3時間もいると、そわそわしてきちゃうんすよ。帰んなきゃっていう気分になっちゃう。だから、俺もここで良かったと思います。心地いいです。本当だったら車で来たかったですけど、前日ちょっと飲みすぎちゃって(笑)。
- 手嶋
- まあまあ(笑)。今日はどこから来たの?
- HSU
- 新横浜からです。Suchmosのメンバーの家にいたんですけど、ここから電車を乗り継いで新横浜に行くって俺絶対にやれないと思って、どうにかこうにかタクシーを呼び(笑)。
普段の革靴
- HSU
- はじめてのちゃんとした革靴、自分の中でちゃんとした革靴の認識は今のところMakersしかなくて。Makersで革靴に出会って以降、例えばオールデンとか他の革靴に興味を持って買ったかと言うと買ってない。Makersしか履いてない。最初びっくりしたのは、「隼太くん、サイズ26でいいんじゃない?」って言われたときに、俺、こんな小さいのきつくねって思ってたんだけど、それ履いて帰ってるだけで、あれ…きつくないって。それが面白いと思って。
- 手嶋
- なかなかね、分かんないだよね。
- HSU
- うん、分かんないっす。
- 手嶋
- 普段スニーカーとか履いてたりするとね、自分の足のかたちが分かんなくなっちゃう。
普段履きでもステージ履きでも?
- HSU
- 履いてますね、全然履いてる。そうそう、思い出した、LAの砂漠に行った時に、何故か間違えてMakersを履いて行っちゃったんですよ。俺、写真送りませんでした?
- 手嶋
- 送られてきたね(笑)。
間違えて履いて行った(笑)。
- HSU
- ラスベガスに行くまでに砂漠があるんですけど、撮影で行ったんです。それで、Makersのコードバン間違えて履いてっちゃったんですけど(笑)、それも面白いなと手嶋さんにLINEしたのが報告のはじまりかも知れない。
コードバンはローファー?
- HSU
- ローファーじゃないですね。
- 手嶋
- Vチップ。
- HSU
- ローファーも欲しいですけどね。ていうか、ローファーが欲しいです今(笑)。
- 手嶋
- なるほどね(笑)。
- HSU
- そのうちいいのがあったら。
- 手嶋
- 直近の報告で送ってくれた報告は、サッカー日本代表戦のときの演奏だったね。短い演奏だってメッセージだったけど、俺、そのときは全くわかってなくて。短いライブなんてあるんだと思ってて、あとで録画で試合を見たら、間で演奏がはじまって(笑)。
- HSU
- そうそう、ハーフタイムで。
- 手嶋
- びっくりしたよ(笑)。
- HSU
- ざっくりいうと、昼間に入ってリハーサルをしたり色々あるんですが、初戦のキックオフは21時で、要するにクソ暇だったんですよ。だから、楽屋で靴磨いてたんですよ(笑)。
- 手嶋
- ははは(笑)。
- HSU
- 磨きセット持っていって(笑)。
手嶋さんはSuchmosはいつから?
- 手嶋
- 一番はじめはやっぱりCMだったかな。
- HSU
- ホンダのね。
- 手嶋
- 俺は聴く音楽も行くライブも偏ってはいるんだけど、何だろうなこれ、けど絶対いいんだろうなというのが最初のインプレッションかな。その後にライブに一度行かせて貰って。
- HSU
- ライブだとまた印象変わって貰えたら嬉しいなと思ってて。
- 手嶋
- そうそう、そういうことを楽屋で伝えたと思う。やっぱ印象変わるなって。
- HSU
- うん。やっぱりカウンターでありたいっていうのがあって。
- 手嶋
- 人と知り合って、この人いいなというのがまずあって、結果その人が音楽やってたりサッカーやってたりと、色々な場合があると思うんだけど、そういう流れがないとはまれないというのはあって。隼太くんはそういうひとりであって。
- HSU
- それは俺もそうかも知れない。人間的な繋がりを無理やり持とうとする人間じゃないから、今の状況は自然で。尚且つ今日は周りにいる人たちをみんな知ってるという笑える状況で。そういうことなんだなって。
- 手嶋
- なかなかね、東京に拠点があって、こうやって浜松に集まらないと思うんだけどね(笑)。もともとみんなレスポンスがいいんだろうけど。
- HSU
- タイミングと、来たいか来たくないか、それだけなんじゃないかな(笑)。
- 手嶋
- まあそうだよね(笑)。思わないと来ないもんね。
- HSU
- なんかいいなってなるもんなぁ。
ここは今どこを走ってるんだろう?(※収録は移動の車内で行われた)
- 手嶋
- 天竜川の方に向かってるね。いいね、こうやって話すのも。
- HSU
- ドライブしながらは一番気持ちいいかも。
友達の家のピザ釜で焼いたピザを一緒に食べれなかったのは残念でしたね
- 手嶋
- 今朝も火入れはしてたんだけどね。
- HSU
- 食べてみたかったな。第2回の開催のときは、俺も家族を連れて来たい。先輩後輩っていうのはあんまりないけど、例えば自分より年上のミュージシャンの人たちの家族に、自分の家族を会わせたいなとも思う。仕事=音楽と家族を切り離して考えるってやっぱりできないから。
お盆の親戚の集まりじゃないけど、こんなふうに人が集まることが少なくなった。
- 手嶋
- そうだね、久しぶりだよ、こんなにたくさん子どもがいるのは。
- HSU
- じゃあ本当にまれなんだ今日は。
- 手嶋
- まれ中のまれだね。あ、景色がいい感じになってきた。
- HSU
- じわじわきてるね。天竜ってすごい地名だな。
- 手嶋
- <暴れ天竜>っていうね、地形と川の流れで。
出身
- HSU
- 生まれも育ちも横浜ですね。第三京浜で言えば、港北インターのあたりに生まれ育って。湘南と横浜って違うんですよね。俺は、結婚してから湘南の海っぺりに引っ越そうって。
手嶋さんは、湘南には?
- 手嶋
- 鎌倉はあるね。
- HSU
- 鎌倉も湘南ですよね。相模湾の沿岸地域を湘南というんじゃないかな。
年齢
- HSU
- 二人(手嶋と岡本)は同い年なんですか?
- 手嶋
- そう、同い年。
- HSU
- いくつになるんですか?
- 手嶋
- 40になるとこだね。
- HSU
- 40の歳か、俺いま29になったんですよ、ほぼ一回りですね。
- 手嶋
- そうだね。
- HSU
- でも、例えば俺がハタチのときにこうやって話せたかっていうと話せなかった大人たちとこうやって話せるのが嬉しいですけどね。
- 手嶋
- それをすごく感じる、隼太くんくらいの世代に。きっとそういう機会が多いんじゃないかな。僕らというか、僕のときはそうやって上の世代とってことがあまりなかったと思う。
- HSU
- うんうん。
- 手嶋
- けど、今こうやって下の世代と話すことが増えてきていて。
- HSU
- それは嬉しいな。それって、手嶋さんが自分くらいの歳のときに、10コ上くらいの人たちが構ってくれなかったってことじゃないですか。
- 手嶋
- 分かりやすくいうと、そういうことだね(笑)。
- HSU
- 俺、本当に10コ上くらいの人たちと本当によく喋ってるというか、マネージャーも、Suchmosがリリースもしてない頃からお世話になってるんですけど、同じくらい年上の世代ですし。ハタチよりかは10コ上の人たちとの方が話が合いますね。
- 手嶋
- けど、ハタチでもいるかも知れないよ。
- HSU
- いるかも知れないですけどね、単純にまだ出会えないというか。俺も40になった時に面白いヤツと喋れたらいいんですけど。
車
- 手嶋
- 涼しいな、この車は。
- HSU
- 暑いすか、Zは?
- 手嶋
- いや、もう死ぬよ(笑)。
- HSU
- エアコン、効かないんですか?
- 手嶋
- 全く効かない、浜松来るのも昼間に出る暑いから、夜中の3時に出て朝の7時に着いた(笑)。
HSUさん、車は?
- HSU
- そうですね、好きになりましたね。そこまで詳しくはないですけど、車というものが好きですし、必要ですね。1年間で、2~3万キロ運転するんで。
- 手嶋
- だいぶ走ってるね。
- HSU
- どこ行くにも車が楽で。
- 手嶋
- 俺もどこでも行っちゃうね、どこでも行けない車なんだけど。車屋さんにも、「なんでそこまで乗っちゃうのって」ひかれるくらいだから(笑)。愛媛とかまで行っちゃったりするからね。一番きつかったのは島根だね、東京-島根間はヤバかった。
- HSU
- やっぱ車が好きなのは…「男は好きなんじゃないの?」くらいな感覚ですけどね。
必ずしもそうじゃない気もしますが、今日集まってるメンバーは、車好きが多いし、同じ何かを感じる
- 手嶋
- なるほどね。俺は話し出しちゃうと止まらなくなっちゃうから普段はセーブしてる(笑)。
- HSU
- ははは(笑)。
車の話はするけど革靴の話はしない
- 手嶋
- しないね。やっぱあまり説明的になりたくないから。Makersのことでも、見て、「ああいいな」と思って好きになってくれるのがベストだと思うし。
- HSU
- 実際、なんでいいなと思ったか分かんないんだけど、別に分からなくてもいいのかなみたいな。なんなんだろうね。
- 手嶋
- 説明を求める人は少なからずいるし、それによって安心感を得るということはあることだと思うけど。
楽器
- HSU
- 俺は、意外と疎いんですよね。そんなにヴィンテージの楽器に詳しいわけでもなくて。人生フィーリングで。本当、フィーリング以外の何ものでもなくて。勉強もしたことないし、練習もちゃんとしてられないし。どうにかやれてますって感じですね。
着信
- 手嶋
- まだ、着いてないね。今どこ?こっちもはぐれちゃったんだよね。ダムの脇をずっと走ってる。ちょっと松本に電話した方がいいかも、はい。
- HSU
- 広いな、これ。
濁ってますね。
- HSU
- 雨かな。
- 手嶋
- 放流したってことかな。
夏の話を聞かせて
- 手嶋
- 今年の夏?
いや、夏全般について
- 手嶋
- 持ってそうだよね、隼太くんはそういう話。
- HSU
- いや〜。
- 手嶋
- はは(笑)。
今、僕らは夏の川に向かっているから
- HSU
- 夏はね、小さい頃は、親父がキャンプが好きで毎年連れて行って貰ってたから、今年は俺が主導でやりたいなって思ってるくらいかなぁ。
- 手嶋
- 意外と、夏って言われても思い浮かばないね、何してるんだろ。
- HSU
- 基本的には、俺は仕事上ライブをしてますよ(笑)。
- 手嶋
- まあまあ、そうだよね(笑)。
- HSU
- 俺ね、なんで夏にフェスをやるのか分からない。秋にやればいいのに。あ、でも夏休みだからか。
- 手嶋
- いや、そうじゃないと思うよ(笑)。
- HSU
- 本当、お客さんが心配になるくらい暑いから。演者なんてたかだか40分くらい演奏して、その後は楽屋に戻るわけですよ。けど、お客さんは見たいアーティスト炎天下の中待ってるとか。
- 手嶋
- 優しいね〜
- HSU
- 俺もう、心配で心配で。
- 手嶋
- 海外はどうなんだろ?コーチェラとか。
- HSU
- コーチェラは春くらいにやりますよね。いつか出たいなって思ってます。CORNELIUSが出たりしてますよね。
- 手嶋
- あのCORNELIUS?
- HSU
- そうです、カッコいいんですよね。
- 手嶋
- 年齢的には、それこそ俺の10コ上くらいかな。
- HSU
- 多分そうだと思います。
カルチャーと結びついていた
- 手嶋
- そうだね。
- HSU
- そうなんですね。俺は、その世代がそうやってメディアに出ている姿を知らないから。
- 手嶋
- うん、そこは世代的に知らないかも。
ファッション誌のカバーにも
- HSU
- 言ったら、今の俺たちみたいな感じですね。そういう感じだったんですね、俺、何にも知らなかった。メディアとか一切出ない人だと思ってた。似てるな。俺たちも入口は大きく構えておきたいけど、絶対コアな曲をやりたいと思ってるし。今、ちょっと違った曲調に対して、ああだこうだと言われても、ああだこうだ言ってくれてありがとうという気持ちしかなくて。俺たちもそうやって色々考えて貰えるくらいになったんだって。どうなっていくんだろうって思われてもいいし、やっぱ尖ってるって思われたいし。
手嶋さんの周りにはそういう人たちが多い
- 手嶋
- そういう人ばっかりだね。
だから好き
- HSU
- そうか、そういうことか、俺も手嶋さんにそういうふうに感じたし。
Makers、以前は露出したくないと言ってた
- 手嶋
- そうだね、そういうふうに思ってたんだけど、Makersに触れてもらうのも色んな入り方があって。隼太くんが履いてくれて、「隼太くんが履いてる靴、カッコいいな」って思ってくれる人もいれば、単純にMakersが好きって人もいて。最初は露出はせずに単純に「Makers」、靴ってことだけでいいと考えてたんだけど、それが良くないってことじゃないんだけど、気持ちが変わっちゃって。入口はもっと広げていいのかなって。それで、どうせならもっと自分のパーソナルな部分を出した方が、お客さんの雰囲気も変わってくるのかなと思って。だから、この対談もそうだけど、オフィシャルな感じでやっていこうって。
- HSU
- 手嶋さんはそれをやってもいい人だと思うんですよね、というかやって様になる人だと思う。
- 手嶋
- オリジナルって、オリジナルじゃないじゃん。オリジナルって色んなものを見て、それを精査して作り上げていくことだと思うし、今そういう段階に入ってる。
- HSU
- 全然細かいことは分からないんですけど、手嶋さんって、靴づくりのどこに携わってるんですか?
- 手嶋
- 俺は基本自分でも全部作っちゃうのよ。
- HSU
- 自分で作っちゃうっていうのは、物理的に皮を切って型を作って作れるということですよね?
- 手嶋
- うん、もちろん。その上で今やってるのはデザインと最後の仕上げかな。
- HSU
- 仕上げ?
- 手嶋
- Makersの靴は無垢の状態であがってくるのね。それを人に渡すために綺麗にお化粧をしてあげなきゃいけないの。そうやって箱に入れて納品するんだけど、その化粧ってのも、例えば隼太くんが持ってるコードヴァンなんかだと、普通にやって1足1時間かかるのね。
- HSU
- へぇ。
- 手嶋
- ということは、1日働いても8足しか箱に入れられない。モノがたくさん上がってきても、箱に入れることができるのはそれしかできない。だからそこに時間を割いてる。
- HSU
- はいはい。
- 手嶋
- あとは生産管理といったらあれだけど、それは当然あるし、その中で新しいものを考えながらという感じだから、いわゆる皆さんが考えるデザイナーではないよね。
- HSU
- ともかく手嶋さんイコールMakersってことですよね。
- 手嶋
- そうそうそう。
- HSU
- その辺り単純に分かってなかったんですよね。何なんだろう、手嶋さんは、誰なんだろうみたいな(笑)。
- 手嶋
- なるほどね(笑)。
- HSU
- Makersの手嶋さんなのか、手嶋さんがMakersなのかっていう(笑)。聞いたこともないし、聞けて良かったです(笑)。
- 手嶋
- 必要以上に話したりしないからね(笑)。
「何もしない」
- 手嶋
- Makersをどういうふうに認知して貰えばいいのかというね。最初は露出がないから、日本のブランドなのかどうかも分からないという人もいたし。もしかしたらアメリカでやってるの?みたいな。
- HSU
- いるんだ。
- 手嶋
- うん、そこは説明して純国産ですって。でもそれは嬉しいことでもあって。
- HSU
- うんうん。
- 手嶋
- 最近思うのは、意外とみんな革靴嫌いじゃないんだなって。普段履いてなくても、実は好きなんだよねって人が周りに多いのかも。
- HSU
- Suchmosのメンバーは、スニーカーより革靴履いてる方が多いっすよ。
- 手嶋
- みんな古着が多いよね。
- HSU
- そうすね、古着が好きで。OKなんか、ベルボトムに革靴履いてとか。YONCEも革靴好きだし、TAIHEIも好きだし。TAIHEIはオールデン買ったって言ってましたけど、「お前、ちょっとMakers履いてみれば?」とか(笑)。
- 手嶋
- そういうのは苦手なやつだから(笑)。
- HSU
- いや、けどそういう意味じゃなくて、「革靴好きなんだったら履いてみなよ」っていうか。
- 手嶋
- うんうん。うわ、めっちゃ放流してる!
- HSU
- うをーすげぇ!かっけえ。
- 手嶋
- これはヤバイねぇ。
- HSU
- 俺、ダムが放流してるの見たことないかも。
- 手嶋
- 俺もちゃんとははじめてかも。
秋葉ダム、着工昭和29年
- HSU
- 平成も終わりますね、俺平成元年なんです。それで子どもが平成最後の年に。これからどうなるんだろう、何かが変わると思うな。
- 手嶋
- 隼太くんは、敏感だよね、アンテナがしっかりしてるというか。俺なんかはもう錆びたアンテナだから。
- HSU
- そうですか?どこかにはビンビンなんじゃないですか?俺だって、感知できる範囲が極端ですから。
- 手嶋
- 気を張ってないとアンテナそのものが小さくなっちゃうと思うんだけど、気を張ることをやめちゃったから。あんまり頑張らないというか。
- HSU
- 分かるわ。ここまできたら好きなことやらないと意味が分からないと思って。
- 手嶋
- うん、それってひと握りだから。そこに行きたくても行き着けない人だってたくさんいるわけだから。
- HSU
- そうですね、だからこそ頑固に、時に柔軟に。それで自分に対して嘘をつかずにやっていれば、とりあえず大丈夫だって。
- 手嶋
- そう、それが一番だね。何かに曲げられるようなことがあれば、絶対後悔するから。もし何かが変わったとしても、自分で納得していればいいんだけどね。けど変わってしまった何かも見てきたから。俺は隼太くんくらいの歳で、そういうことは分からなかったし、今そういうことに気づけちゃってるというのはとても強いよね。
- HSU
- はい、だからこそ頑張らない。ゆっくりやるっていうか、マイペースで。
川が近づいてくる、短い撮影が終わる
- HSU
- 今日は「何もしない」ってことがいいですね。何もしない感じってそんなにあることじゃないから。